【2026年版】中小企業のための「仕事と介護の両立支援」チェックリスト20項目 ~あなたの会社はどこまでできていますか?介護離職を防ぐための実践ガイド~
「社員が親の介護をしているかどうか、会社として把握できていない」
「介護休業制度はあるけれど、社員に十分周知できていない」
「突然、介護離職の相談を受けたら、どう対応すればよいか分からない」
こうした悩みを抱える中小企業は少なくないのではないでしょうか。
人材不足が経営課題となる中、経験や技術を持つ社員が家族の介護を理由に離職することは、企業にとって大きな損失につながる可能性があります。
しかし、仕事と介護の両立支援に取り組もうとしても、何から始めればよいのか分からない企業もあるでしょう。
そこで今回は、中小企業が自社のビジネスケアラー対策を確認できる20項目のチェックリストを作成しました。
制度の整備状況だけでなく、社員への情報提供、管理職の対応、相談体制、外部専門職との連携まで、5つの分野に分けて確認できます。
特別な専門部署がなくても取り組める内容です。
まずは自社の現状を確認することから始めてみましょう。
1.なぜ今、企業に「仕事と介護の両立支援」が必要なのか
仕事をしながら家族の介護に関わる人を「ビジネスケアラー」と呼びます。
介護は、ある日突然始まることがあります。
親の入院や転倒、認知症の進行などによって、これまで問題なく働いていた社員の生活が大きく変化する場合があります。
介護の負担が増えると、通院の付き添いや各種手続き、介護サービスの調整などによって、仕事への影響が生じることもあります。
こうした状況に対して、企業が十分な支援を行えなければ、社員が仕事を続けることを諦めてしまう可能性があります。
一方、企業が相談しやすい環境を整え、必要な制度や専門機関につなぐことができれば、社員は働き続けるための選択肢を検討しやすくなります。
2025年4月から施行された改正育児・介護休業法では、介護離職防止のための雇用環境整備や、介護に直面した社員への個別の制度周知・意向確認などが事業主に義務付けられました。
2026年現在、仕事と介護の両立支援は、企業が具体的に取り組むべき課題の一つとなっています。
重要なのは、法律への対応だけで終わらせないことです。
社員が介護に直面しても、安心して働き続けられる仕組みが実際に機能しているか。
この視点から、自社の取り組みを確認してみましょう。
2.仕事と介護の両立支援チェックリスト20項目

以下の20項目について、自社で実施できているものにチェックを入れてください。
「制度はあるが社員に知られていない」「担当者は決まっているが対応方法が共有されていない」といった場合は、実施済みとせず、改善が必要な項目として整理することをおすすめします。
【分野①】制度整備・法令対応
1.介護休業・介護休暇などの制度を整備している
育児・介護休業法に基づく制度が就業規則等に適切に反映され、社員が利用できる状態になっている。
2.介護に直面した社員への個別周知・意向確認を実施できる
社員から介護に直面した旨の申出があった場合、必要な制度情報を個別に周知し、利用意向を確認する手順が決まっている。
3.40歳前後の社員への情報提供を実施している
法令で定められた時期に、介護休業制度等について情報提供できる仕組みがある。
4.介護離職防止のための雇用環境整備を行っている
研修、相談体制の整備、利用事例の収集・提供、制度利用促進方針の周知のうち、法令で定められた措置を講じている。
確認ポイント
これらは単なる推奨事項ではありません。項目2~4には、2025年4月から施行された事業主の法的義務が含まれています。
特に雇用環境整備については、指定された4つの措置すべてが義務なのではなく、少なくとも1つを実施する必要があります。複数の措置を講じることが望ましいとされています。
【分野②】社員への情報提供・意識づくり
5.社員が介護関連制度の存在を知っている
社内資料や説明会などを通じて、利用できる制度を分かりやすく案内している。
6.社員が介護相談の窓口を知っている
介護について困ったとき、誰に相談すればよいのか明確になっている。
7.介護が始まる前から情報提供を行っている
法定の情報提供に加え、親が元気なうちから介護について考える機会を設けている。
8.介護を理由に退職を急いで決めないよう伝えている
介護サービスや社内制度を確認し、働き続ける方法を検討できることを社員に伝えている。
確認ポイント
制度は、社員がその存在や利用方法を知らなければ十分に活用されません。
社内掲示やメール、定期的な情報提供など、社員が必要なときに情報を確認できる仕組みが重要です。
【分野③】管理職の対応・相談体制
9.管理職が介護相談の基本的な対応方法を理解している
相談を受け止め、本人の希望を確認し、必要な担当者につなぐことができる。
10.介護相談を受けた際の社内対応フローがある
相談受付から制度説明、勤務調整、継続フォローまでの流れが決まっている。
11.相談内容のプライバシーを保護する仕組みがある
家族の状況などの個人情報を、本人の意向を踏まえて必要な範囲で取り扱っている。
12.管理職だけで問題を抱え込まない仕組みがある
人事・総務・経営者など、必要な担当者へ連携できる体制がある。
確認ポイント
社員から介護相談を受けた際、管理職の対応によって社員の安心感は大きく変わります。
大切なのは、管理職が介護の専門家になることではありません。
「話を聞く」「本人の希望を確認する」「必要な支援につなぐ」
この基本的な対応を、組織として共有することが重要です。
【分野④】働き方の調整・継続支援
13.介護に応じた働き方の調整を検討できる
勤務時間、休暇、残業、出張、業務分担などについて、本人と相談する仕組みがある。
14.介護休業以外の両立支援制度も案内できる
介護休暇、所定外労働の制限、短時間勤務等の措置などを、本人の状況に応じて説明できる。
15.介護を理由に社員の能力や意欲を決めつけない
本人の希望を確認せずに重要な仕事から外すなどの対応を避けている。
16.介護相談後も継続的にフォローしている
一度の面談で終わらず、介護状況や勤務上の困りごとが変化した場合に再相談できる。
確認ポイント
介護の状況は変化します。
そのため、一時的な勤務調整だけでなく、状況に応じて働き方を見直せることが大切です。
また、介護をしている社員が必ずしも仕事の能力を発揮できなくなるわけではありません。
本人の希望や業務の状況を確認しながら、両立可能な方法を検討しましょう。
【分野⑤】外部専門職との連携・経営管理
17.地域包括支援センターなどの相談先を案内できる
介護が始まった社員に、適切な相談機関を紹介できる。
18.ケアマネジャーなど介護専門職の役割を理解している
会社が介護問題をすべて解決するのではなく、専門職につなぐ必要性を理解している。
19.仕事と介護の両立に関する課題を把握している
社員アンケートや相談状況などを通じて、プライバシーに配慮しながら課題を把握している。
20.介護離職防止を経営課題として位置付けている
人材定着や働きやすい職場づくりの観点から、経営者が継続的に取り組んでいる。
確認ポイント
介護に関する問題は、会社だけで解決するものではありません。
地域包括支援センター、市区町村の介護保険担当窓口、ケアマネジャーなどの専門職につなぐことが重要です。
会社は仕事の継続を支援し、介護については適切な専門機関に相談できるよう案内する。
この役割分担が、社員と管理職の双方の負担軽減につながります。
3.チェック結果から自社の課題を確認する
20項目を確認したら、チェックが付いた数を数えてみましょう。
以下は、取り組み状況を整理するための目安です。
| チェック数 | 状況の目安 | 次の取り組み |
|---|---|---|
| 0~5項目 | 基盤整備が必要 | 法令対応と相談先の明確化から始める |
| 6~10項目 | 一部の取り組みを実施 | 不足している分野を整理する |
| 11~15項目 | 仕組みづくりが進行中 | 運用状況や管理職の対応を確認する |
| 16~20項目 | 幅広い取り組みを実施 | 継続的な改善と実効性の確認を進める |
※この区分はゼロイチ合同会社による自己点検のための目安であり、公的な認証・評価基準ではありません。
重要なのは、チェック数が多いことだけではありません。
例えば、15項目にチェックが付いていても、法令上必要な個別周知・意向確認ができていなければ、優先して改善する必要があります。
また、制度が整っていても社員が相談できない状況であれば、実際の介護離職防止には十分につながりません。
点数よりも、何が不足しているのかを具体的に把握することが大切です。
4.チェックが少なかった企業が最初に取り組みたい3つのこと
20項目を確認して、取り組めていない項目が多かったとしても、すべてを一度に整備する必要はありません。
まずは次の3つから着手しましょう。
① 法令上必要な対応を確認する
最初に、育児・介護休業法に基づく制度や事業主の義務への対応状況を確認します。
特に2025年4月施行の改正事項である、雇用環境整備、介護に直面した社員への個別周知・意向確認、40歳前後での情報提供について確認しましょう。
② 社内の相談ルートを決める
「介護について困ったとき、誰に相談すればよいのか」
この問いに社員が答えられる状態をつくります。
大企業のような専門部署がなくても、直属上司、総務担当者、経営者などで役割分担を決めることは可能です。
③ 管理職に基本的な対応を共有する
管理職が介護相談を受けた際に、退職を前提とした話を進めたり、制度だけを案内して終わったりしないよう、基本的な対応を共有します。
介護の詳しい知識よりも、相談を受け止め、適切な支援につなぐ姿勢が重要です。
5.中小企業こそ、無理のない仕組みづくりを
中小企業では、人事・総務を専任で担当する社員がいない場合もあります。
そのため、仕事と介護の両立支援に取り組む際には、自社の規模に合った仕組みづくりが必要です。
例えば、従業員20人の企業であれば、経営者と総務担当者が相談窓口を担い、直属上司が日常的な勤務調整を行う方法も考えられます。
介護に関する専門的な相談は、地域包括支援センターやケアマネジャーなどにつなぎます。
必要なのは、立派な制度を数多く作ることではありません。
誰が、いつ、何をするのかを決め、社員が実際に利用できる状態にすることです。
そして、一度整備したら終わりではなく、社員の声や相談状況を踏まえて改善していくことが大切です。
6.仕事と介護の両立支援は、人材定着への投資
仕事と介護の両立支援は、社員の家庭事情に配慮するだけの取り組みではありません。
経験や技術を持つ社員が働き続けられる環境を整えることは、人材定着や組織の安定にもつながります。
さらに、相談しやすい職場環境は、管理職が問題を一人で抱え込むことを防ぎ、職場全体の安心感にもつながります。
介護離職防止を福利厚生の一つとして捉えるだけでなく、企業の人材を守るための経営課題として考えることが重要です。
社員を守ることは、企業の未来を守ることでもあります。
7.まとめ|まずは自社の現状を知ることから
仕事と介護の両立支援は、制度を整備することだけが目的ではありません。
社員が介護に直面したとき、安心して相談でき、必要な支援につながり、働き続けられる環境をつくることが重要です。
今回紹介した20項目は、企業が自社の取り組み状況を確認するためのチェックリストです。
すべてにチェックが付かなくても構いません。
まずは現状を把握し、法令対応を確認したうえで、不足している取り組みから改善していきましょう。
介護離職を防ぐ第一歩は、自社の課題に気づくことです。
そして、その課題を一つずつ改善していくことが、人材定着と企業の持続的な成長につながります。
このようなお悩みはありませんか?
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ビジネスケアラー対策を何から始めればよいか分からない
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自社の仕事と介護の両立支援が十分なのか確認したい
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法改正への対応状況を整理したい
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社員が介護について相談できる環境を整えたい
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管理職研修を実施したい
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介護離職防止を人材定着につなげたい
ゼロイチ合同会社では、ケアマネジャーとしての介護現場の知識と経験を活かし、企業の仕事と介護の両立支援をサポートしています。
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まずは自社の現状を確認するところから始めてみませんか。
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